スクレ―ピングとブラッシングの意味


ホットワックスの原理で摩擦抵抗の話をしていますが、分かりやすい説明を心がけた結果かえって誤解を生むかもしれないと思ったので、別の視点から補足します。

スクレ―ピングの意味

ホットワックスをアイロンで塗って冷ましたら、スクレーパーでスクレ―ピングをします。

この意味はなんとなく分かりやすいものです。

アイロンで塗っただけでは、表面は凸凹しているから、スクレーパーで凸凹を削り取って、平らな表面にする。

別の言い方をすればソール表面の余分なワックスを削り取る。

こう考えて基本的に問題ないわけですが、スクレ―ピングで平らな表面にするというのは、少し語弊のある表現で、こう考えると後のブラッシングの意味が分からなくなります。

ブラッシングの意味

ホットワックスにおけるブラッシングの意味は少しわかりづらいです。

これが靴磨きだとわかりやすい。

革靴にクリームを塗りますが、塗って布で伸ばしただけだと塗りムラで凸凹しているからブラッシングして表面を均して(ならして)あげて、最後に柔らかいブラシでツヤ出しをします。

しかし、ホットワックスの場合は少し違います。

ガリウムやSWIXなど、スキー・スノーボード関連のチューン用品メーカーのページを見ると、ホットワックス後のメインブラシであるボアブラシの機能について、スクレ―ピングでは削り取れないストラクチャー内の余分なワックスを掻き出すと書いてあります。

そう、ホットワックスにおいて、スクレ―ピング後のブラッシングの第一の意味はワックスを取り除くことにあります。

スクレ―ピングやブラッシングはやればやるほどカスが出てきますが、いったいどこまでやればいいのかというアマチュアならでは疑問がありますが、正しい回答は、ソールに浸透しなかったワックスなどすべて取り除くべきということになります。

せっかくワックスをアイロンで溶かして塗り込んだのに、その後にワックスを取り除くとはどういうことでしょうか。

実はここで登場するのが、ソール表面のストラクチャーというもの。

ポイントは、スキーやスノーボードが滑る原理には摩擦とコロ効果の二つあるということです。

コロというのは、ピラミッドの作成現場で大きな石を運ぶときに下に入れる丸太のことです。

ソールとの摩擦で溶けた雪が水滴となってコロの効果を発揮し、それによってスキーやスノーボードが滑るようになると言われています。

したがって、摩擦抵抗を減らすためにソールを鏡面のようにツルツルに仕上げるといいかといえば、それだと水滴がソール面にべっちょりついてしまってコロ効果が期待できなくなってしまいます。

そこで、うまくバランスをとるために、ストラクチャー加工といってソール表面に凹凸を作るわけです。

そして、ホットワックスというのは、固形ワックスをアイロンの熱で溶かして、ソールのミクロレベルの隙間に浸透させていくわけですが、ソール表面のストラクチャー構造の凸凹をワックスで埋めて鏡面のようなソールにするためではありません。

あくまで、カッチリ仕上げて摩擦抵抗は減らすわけですが、ストラクチャー構造はあった方がいいわけです(つまり、凹凸はあるけどツルツルしたソールを目指す)。

その点、スクレーパーは直線構造なので、ストラクチャーの凹凸の特に凹の方を埋めてしまったワックスは取りのぞけないので、まず、ボアブラシのような比較的硬いブラシでそれらを掻き出すことが必要となってきます。

これがブラッシングの第一の意味です。

なお、最終的な馬毛ブラシなどは、ワックスを掻き出すというより、ボアブラシなどで掻き出したワックスの細かいカスを取り除いて、つやつやにするために行い、ナイロンブラシはその中間です。

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