ベースワックスだけでは滑らないのか


まず言葉遣い

この疑問の根底には、ベースワックスという言葉遣いの混乱があるので、別の記事で説明しました。

ベースワックスと滑走ワックスの違い

以下では、「ベースワックスだけでは滑らないのか」というよくある疑問に答えるために、不本意ながら、「ベースワックス=フッ素なしのパラフィンワックス」という定義で説明します。

ベースワックスだけで滑ります

ワックスを塗ることでスキーやスノーボードの滑走性が上がる理由は下記の記事で説明しました。

ワックスでスノーボードやスキーが滑るようになる理由

この記事で説明したように、ソール面というのは、新品ですらミクロレベルでは凸凹しており、ましてや、滑走により細かい傷が付いたり、毛羽だったりすれば、摩擦抵抗は増えます。

その上に、パラフィンワックスを塗ることで、間違いなく摩擦抵抗は減りますから、滑走性は上がります(ソール面の摩擦抵抗の減少)。

また、雪面を構成しているのは雪の結晶であり、固体である以上砂みたいなものなので、雪面をすべるのは本来的には砂の上をすべるようなものです。

しかし、摩擦熱で雪が融け、ソールと雪面の間に水膜ができると、それが潤滑油のような働きをしてくれます。

しかし、ソール面にミクロの凸凹があると、毛細管現象によって水がソールに吸い付くので、その結果として摩擦抵抗は増えてしまいます。

パラフィンもフッ素ほどではないにしても、疎水性物質(水と相性の悪い物質)ですから、それをソール面に塗ることは、毛細管現象で水分がソールに吸い付くのを減らし、摩擦抵抗の減少につながります。

これは水分のコロ効果と呼ばれ、コロってなんだ?という人もいるかもしれませんが、ピラミッドを作る時のような大きな石を運ぶときに、石の下に入れる丸太のことです。

水分がはじかれると、水滴がコロのように働き、ソールを滑らせてくれます。

以上のように、一般的にベースワックスとして販売されているパラフィンワックスだけを塗っても、塗らない場合と比較して間違いなく滑走性能は上がります。

もちろん、撥水性の高いフッ素入りワックスを塗ったほうが滑走性が高くなるのは当然です。

ハイシーズンはこれ一本で十分滑ります。

春スキーは注意

ベースワックス(パラフィンワックス)だけでレジャーレベルなら問題ないのですが、春スキーは要注意です。

気温・雪音が高くなる春スキーでは、雪面の水分量が多くなり、ソールと雪面の間に厚い水膜が出来て、その水膜が潤滑油になるどころか、ソールにべっちょりとくっ付いてかえって摩擦抵抗を増やします(低温時だと、雪面という固体の上をすべる時に、摩擦熱で溶けてできた水膜がちょうど潤滑油になってくれるのですが、春だと雪が解けすぎて、雪面というよりべっちょりくっついた水面の上をすべるようなイメージ)。

そうすると、ソール面をツルツルにしたことによるソール面と雪面との摩擦抵抗現象効果は比較的に小さくなり(逆に言うとソール面が凸凹でもあまり関係なくなる)、むしろ、その水の抵抗を減らすことの方が圧倒的に重要になってきます。

そして、その状況では、フッ素が抜群の効果を発揮します。

つまり、自分はスキー・スノボ旅行の前に頑張ってホットワックスをして、同行の友人は滑る直前に簡易的なペーストワックスを塗っただけなのに、友人の使ったペーストワックスがフッ素入りだと、そっちの方が滑るという可能性はあり得ます(持続性はさておき)。

対策として、パラフィンワックスとフッ素入りワックスの2段階でホットワックスすることが圧倒的な差を生み出すことになるのですが、2回もホットワックスするのが面倒であれば、ホットワックスはいつも通りのパラフィンワックスだけにして、自分もフッ素入りのペーストワックスを直前に塗ればよいだけです。

春スキー用のフッ素ワックス。まずは安くて定番のガリウムから。

スポンサーリンク