ブラッシングの基本
まず、ブラッシングの意味については下記の記事で詳述しました。
大事なことは、靴磨きと違って、スキーやスノーボードのホットワクシングの場合、ソールを鏡面のようにツルツルに仕上げればいいわけではないということです。
スキーやスノーボードのソール表面のストラクチャー構造という凹凸があり、ワックスでそれらが埋まってしまっては良くないのですが、スクレ―ピングでは凹の部分に埋まったワックスを掻き出すことはできないので、まず最初のブラッシングでそれらを掻き出す必要があります。
靴磨きのように表面を均す(ならす)のはその後の工程です。
ブロンズブラシ
これは、毛というか金属性なので一番掻き出す力が強いのですが、その分削りすぎるという欠点があります。
したがって、ホットワックス前のブラッシングで使い、ホットワックス後のブラッシングでは使いません。
ホットワックス前であれば、どうせワックスを浸透させるので、多少必要な部分まで削り取ってでもとにかく汚れや不純物を削り取る必要があるからです。
その反面、ストラクチャー内部のワックスを削り取るつもりが浸透したワックスまで削り取って表面を荒らしても仕方がないので、ホットワックス後には使いません。
ボアブラシ
ボアというのは猪の毛で、細いけどそれなりに硬いブラシです。
特に、ナイロンブラシと違って細くて先端が尖っているので、ストラクチャー内部のワックスを掻き出すのに最適とされています。
しかし、ブロンズブラシほど強くもないので、必要な部分まで削りすぎるということはなく、スクレ―ピング後の最初のブラッシングに使われます。
ナイロンブラシ
ナイロンブラシには2種類あって白と青があります。
白いナイロンブラシの方が硬いブラシで、青は柔らかいブラシです。
ナイロンブラシでボアブラシの代わりが出来るのかどうかは、本格派VS簡易派の終わらない議論ですが、ナイロンの方がボアブラシより太いので、掻き出すのに力と回数がより多く必要になることは間違いないです。
ワックスメーカーの説明的には、スクレ―ピング後2番目に使うブラシで、ボアブラシでストラクチャー内部のワックスを一通り掻き出した後に使い、ボアブラシで取りきれなかったワックスを掻き出しつつも、表面を磨いて仕上げていく効果があります。
青のナイロンブラシは、やわらかいのでボアブラシの代用というより馬毛ブラシの代用です。
馬毛ブラシ
これは、やわらかい毛のブラシで、ボアやナイロンのブラッシングで掻き出した細かいカスがソール表面についているので、それらを取り除き表面を綺麗に仕上げるためのブラシです。
注意点
上記の説明は、ガリウムの商品構成を標準にして、ブロンズ、ボア、ナイロン、馬毛という順番で説明しました。
しかし、少し注意点があります。
それは、金属ブラシだからワクシングの前の汚れ落とし用だとは限らないという点です。
日本のメーカーは、そういう製品ラインナップにしていますが、金属製のブラシの毛足はいろいろ加工が可能です。
そして、スクレ―ピング後の最初のブラッシングの目的は、ストラクチャー内部のワックスを削りすぎない程度に掻き出すことですから、その強度を金属で実現することは可能であり、SWIXのメイン商品はファインスチールブラシで、毛先の細い鉄製のブラシです。
周りがナイロンで囲まれていて掻き出したワックスカスを掃き出すようにデザインされています。
つまり、金属製だから強度が強すぎるということはなく、金属ブラシの場合、素材が問題なのではなく、最終的にどのような用途向けに作成されているかです。
特に、海外のホットワックスの解説を見るとボアブラシが登場することは稀で(私の個人的経験ですが)、ホットワックス前も後の最初のブラシも両方ブロンズブラシと紹介されていることも多く、ただ、前は粗目、後は中目、と種類が分けられているように感じます。
上述したようにSWIXでは、ファインスチールブラシがホットワックス後の最初のブラッシング用の製品として売られていますし、TOKOはナイロンブラシですし(ボアブラシは用意されていない)、ホルメンコールもボアブラシは用意されておらず、その代わり、ブロンズブラシがハードとロング(やわらかい)の2種類用意されています。
硬いブラシだと削りすぎるという話をしましたが、本当はそれもワックスの硬さ次第で、硬いワックスを使えば、硬いブラシを使わないと削りすぎるどころか掻き出すことも難しくなってくるので、ホルメンコールのように、ワックスの前と後で商品区分をせずに、色んなブラシを用意して、状況に応じて使い分けてねという姿勢が正しいのだと思います(素人泣かせですが)。
初心者は何を買うべきか
批判覚悟の個人の意見ですが、私は最初はナイロンブラシ1個でいいと思います。
確かに、ボアブラシの方がワックスを掻き出す効率は良いのですが、ナイロンブラシで代わりにならないかといえば、効率が悪いだけでレジャーレベルなら大丈夫かと思います。
次にそろえるならワックス前の粗目のブロンズブラシかと思います。床のワックスがけと同じで表面が汚れていたら元も子もないですからね。
その後に買うのがボアブラシもしくは中目で毛の長いの金属ブラシ。確かにこれがあるとブラッシングの効率は上がります(ナイロンだけだといつ終わるんだという感じですが)。
最終的に馬毛ブラシかなと思います。
細めのファイバーテックスがあれば馬毛ブラシは要らないというのは私がずぼらなだけかな。
とりあえず迷ったら定番のガリウムのナイロンブラシで。